近年、Navier-Stokes(N-S)方程式の導出と理解を深める努力がなされているが、その結果、多くの例によって正しいことが証明されているものの、方程式の背後にあるいくつかの概念や原理は正しいか一貫性がない場合があることが分かった。 例えば、単純な古典的クーエット流の解析から、対称的な応力テンソルの要件は、実際、クーエット流の解と矛盾する。
本研究で明らかになった矛盾を解決するために、固体物理を担う流体摩擦を収容するトータルテンソルの再構成を提案し、新しいトータルテンソルが、明らかになった矛盾と対立のすべてを解決できることを確認することができた。 そして、新たに定義された流体摩擦テンソルを用いてN-S方程式を導出したところ、予想通り、非圧縮性流体に対するN-S方程式の原形と同じN-S方程式が得られることが確認された。 圧縮性流体では、元のN-S方程式と同じN-S方程式を得るためには、1845年にStokesが行ったのと非常に似た方法で、若干異なる仮定が必要である
新しい定義のトータルテンソルによるN-S方程式は、異なるが、より物理的背景を持つ概念と原理であることは著者の意図である。 N-S方程式の再検討は、ダイナミックな流れをより良く理解するための光を与え、複雑な流れの問題を解決するための新しい、より良いアプローチを確立することにつながることが期待される。