嫌気性メタン酸化と硫酸還元、エタンとプロパンを電子供与体とする硫酸還元細菌は硫黄オキシアニオンで汚染した流れの処理の新しい機会を提供するもの。 しかし、メタン、プロパン、ブタンを用いた硫酸還元菌の増殖は極めて遅く、これらの変換を利用したバイオプロセスの研究開発の妨げになっている。 熱力学的な計算から、チオ硫酸や元素状硫黄などの代替末端電子受容体を用いた場合の増殖速度はより速くなる可能性があり、今後の研究を促進することが期待される。 ここでは、これらの電子受容体を用いたメタン、エタン、プロパンの酸化反応について、海底堆積物を接種物として調査した。 オーフス湾(デンマーク)とエッカーンフェルデ湾(ドイツ)由来の混合海底堆積物を、メタン、エタン、プロパンおよび各種硫黄電子受容体の存在下、pH7.2~7.8、温度15℃で嫌気的に培養した。 メタン、エタン、プロパンと硫酸塩の条件での硫化物生成速度はそれぞれ2.3、2.2、1.8μmol S L(-1) day(-1)であった。 硫黄については、還元は示されなかった。 チオ硫酸の場合、硫化物の生成速度は硫酸の場合と比較して最大50倍で、メタン、エタン、プロパンそれぞれ86.2、90.7、108.1μmol S L(-1) day(-1)で あった。 この硫化物の生成は不均化の影響によるもので、エタンでは50%であったが、メタンとプロパンではそれぞれ7%と14%に過ぎなかった。 チオ硫酸の存在下でのアルカンの酸化は、二酸化炭素の生成によって確認された。 これは、エタンとプロパンを電子供与体とし、チオ硫酸を電子受容体として使用した最初の報告である。 さらに、これらの結果は、チオ硫酸が短鎖アルカン酸化と結合した硫酸還元バイオプロセスの始動率を向上させる有望な電子受容体であることを示すものである。

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