その背景。 自閉症スペクトラム(ASD)の有病率は着実に増加しているようである。 疾病管理センターからの最新の報告によると、ASDの割合は、2007年の150人に1人から、91人に1人と推定されている(Kogan, 2009)。 ASDの有病率の変化と思われる現象を理解するには、遺伝的・環境的要因を注意深く探る必要がある。 複雑な疾患の病因を解明する上で有用であることが証明されているのが、孤立した集団を対象とした研究である。 孤立した集団の中で広範囲に研究されているのがアーミッシュであり、250を超える遺伝学的研究が行われている。 自閉症の研究をアーミッシュに拡大することによって、病因に関する重要な情報が得られるかもしれない。 このプロセスの重要な第一歩は、この集団におけるASD有病率を決定するためのフィージビリティスタディである。 目的は以下の通りである。 本研究は,より大規模な疫学研究の一環として,アーミッシュが支配する2つの郡におけるアーミッシュのASD有病率の推定に関する予備的データを提示するものである。 これらの郡における3歳から21歳までのすべての子どもは,ASDの有無についてスクリーニングされる。 方法は以下の通りである。 スクリーニングは、オハイオ州ホームズ郡とインディアナ州エルカート・ラグレンジ郡という、米国で最も大きなアーミッシュコミュニティで行われた。 訓練された臨床医が、出版されたアーミッシュ名簿を参考に一軒一軒確認した。 家族には声をかけ、子供に関する簡単なインタビューに参加するよう求めた。 スクリーニングには、Social Communication Questionnaire(SCQ)とDSM-IV-TR Checklist(著者ら作成)の2種類の主要な尺度を使用した。 また、ワクチン接種歴や、ASDの表現型に特化した質問を含む簡単な家族歴も聴取した。 SCQまたはDSM-IV-TRチェックリストで陽性と判定された子どもは、2名の公認心理士によるより包括的な臨床評価を受けることになった。 この評価には、自閉症診断観察表(ADOS)および自閉症診断面接(ADI)が含まれた。 結果 2008年9月から2009年10月までに、2つのアーミッシュコミュニティにおいて、1899人のアーミッシュの子どもたちがスクリーニングを受けた。 SCQまたはDSM-IV-TRのチェックリストのいずれかを用いてASDと判定された子どもは合計25名であった。 また、両スクリーナーでASD陽性と判定された子どもは14名であった。 この25人のうち、14人が評価され、7人がADIとADOS、および臨床的判断によりASDと診断されることが確認された。 興味深いことに、7人のうち4人はADOSのみでASDの基準を満たしたが、ADIでは満たせなかった。 ADIで診断されなかった4人のうち3人はBehavioral Domainの基準を満たさないだけであったが、これはアーミッシュの介護者の報告スタイルに起因すると思われる。 結論 アーミッシュコミュニティにおけるASDの存在は,標準的なASDスクリーニング・診断ツールを用いて,271人に1人の割合で予備データから確認されたが,いくつかの修正が必要である可能性がある。 ADIで観察された介護者の報告スタイルに関与している可能性のある文化的規範や習慣について、さらなる研究が進められているところである。 アーミッシュにおけるASDの表現型を正確に決定することは,この集団におけるASDの遺伝学的研究をデザインするための第一歩である<6849>。

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